- 依頼主
- 渋谷再開発協会
- エリア
- 東京都渋谷区
- 期間
- 2017年9月〜2020年3月
- 東京
- 渋谷区
- 後藤太一
- 飯石藍
- 竹林知樹

「2040年の渋谷はどうなりたい?」
経済開発の視点で渋谷の未来をつくる
時代ごとに変わり続ける街、渋谷。その未来を見据えるために、渋谷駅周辺の商店街から鉄道事業者まで、さまざまな団体・企業が会員として名を連ねる「渋谷再開発協会」。同会から「渋谷駅を中心としたエリアにおける産業振興について、渋谷区の政策との連動を見据えた検討」の依頼を受けました。その後、開発・経済委員会を設置し、半年にわたる調査・議論をスタート。渋谷の街の変化にともなってのスタートアップの流出などに、危機感を感じるという意見も出されました。
綿密なリサーチでリアルな「渋谷」を分析
渋谷区が掲げていた「成熟した国際都市 渋谷」というビジョンの実現に向けて、必要となる要素を分解。各種データに基づく現状分析をもとに「渋谷らしさ」をひもときながら、ディスカッションやワークショップを重ねていきました。特に意識をしたのは、都市計画の中で抜け落ちやすい経済・産業といった文脈です。各エリアでの営みが次の時代にどう変化するか、どのような産業が生まれ、どう街に活かされるかなどを、Region Worksならではの横断的な視点で検討しました。
「2040年の渋谷」のイメージと仮説をもとに議論
大きな目標イメージを定め、そこへ向けた具体的な短・中期目標に落とし込むため、「2040年の渋谷」を表す9の目標ごとの仮説を設定。それをもとに、さまざまな立場のステークホルダーと議論し、現状の達成度やこれから成すべきことを洗い出していきました。仮説の提示にあたっては、徹底したリサーチに基づく論証データを用意。新規開発だけでなく、守るべき街の文化についても言及し、数値分析と合わせてフィールドワークで得た写真資料やヒアリング結果も用いながら、活発な議論の場を形成しました。
またプロジェクトに関わる人たちが、個々の役割だけでなく、街全体の姿をとらえて同じ目標 に向かえるようファシリテーション。海外事例を参照しながら、イノベー ティブなエリア開発に求められる要素を整理し、渋谷のどのエリアを起点にするかを具体的に議論しました。

アクションプラン「渋谷計画2024」を策定し、シンポジウムを開催
街の顔の再整備等の都市計画の視点も交えながら、実現に向けたプラン「渋谷計画2040」を策定。これを受けた渋谷区は、行政計画である「まちづくりマスタープラン」の改訂に多くの要素を反映しました。さらに、渋谷区は「商工観光課」を「産業観光課」に改組、人員を増加し、産業ビジョンを初めて策定しました。また、「渋谷計画2040」発表時には、シンポジウムを開催。一般の方へ向けたプレゼンテーションも行いました。

- 「渋谷区まちづくりマスタ-プラン」に本計画の要素が採用
- 「渋谷区観光・産業ビジョン」に本計画に基づいた要素の採用
- 短期・中長期のエリア戦略を紹介するリーフレットを制作
- シンポジウムを開催し、「渋谷計画2040」の成果を発表
- 渋谷区役所が「商工観光課」を「産業観光課」に組織改編し、人員の増員につながる
毎日230万人が乗降する渋谷駅の周辺は、百年に一度と言われる大規模再開発が進み、若者の街から大人の街へと大きく変化しています。そこには、多くの方が想像する以上に、渋谷ならではの個性を大切にする眼差しが溢れ、商業や娯楽ばかりでなくビジネスや生活文化も大切にする意識が高まっています。 今回の取組みでは、デベロッパーだけでなく、商店街や町会、さまざまな企業や学校が一体となって取り組んだことが画期的でした。この人々の一体感こそが、今後も街の変化を良い方向に導く礎になると確信しています。
